昨今、日本企業は長く独自の特徴としていた終身・長期雇用の時代を抜け出し、新たな雇用形態を模索しつつあります。二十世紀の後半は一口に言って、市場原理のグローバル化に明け暮れた時代であったと思い起こされます。日本も例外ではなく、戦後の復興とそれに高度成長やバブル経済は謂わば「狂騒の時代」であったとも言えるでしょう。私が社会人としてキャリアをスタートした1990年代にはその残り香や余韻が色濃く残っていたものでした。そしてその後の「凋落と狼狽の30年」。これを過ぎてみれば、「狂騒の時代」も遠い過去の栄光として追憶のかなたへと消え去ってしまった感さえあります。
このように潮流が大きく変わる時代の中、私は一貫して外資系企業に勤務し、ある時はセールスパーソンとして、ある時は経営陣として、30年超に渡り日本の製造業の数多のお客様をご支援し、時には共に伴走させて頂く機会を頂戴しました。
日本の産業は大企業のみならず、それを支える中小企業、そして無くてはならない幾多の零細企業から成り立っています。昨今、これ等の中小企業、零細企業においては「永い経験に資する技術・技能の伝承問題」と「経営上の後継者問題」が顕著になっており、日本経済にとっても大変重要な課題です。更にアフターコロナの新しい働き方の構築は人材育成にも新たな課題を喚起しています。このような時代背景の中、今一度日本の企業は更にレジリエントにリモデルされなければならないでしょう。
当社は日本企業の文化や歴史に寄り添うサクセッションプラン、即ち後継者育成のあり方を、同様の問題意識を有する研究者・有識者・企業家と産学共同で発することを通じ、各企業様を後継者育成の視点からご支援するとともに、人材育成・組織研究の進歩に寄与し、次の世代により良い社会をバトンタッチできるようお役に立ちたいと考えています。
令和6年4月1日 鈴木博文